書泉よりお届けする
名著の復刊企画。

「中世への旅」シリーズの大ヒットから始まった、「書泉と、10冊」そして「芳林堂書店と、10冊」。この企画は、過去に出版された書籍で既に在庫がなく手に入りにくい名作を、株式会社書泉と出版社のみなさま、著者のみなさまに協力いただき重版・復刊してお届けしていくものです。

『東武デラックスロマンスカー』は、2004年にJTBパブリッシングのキャンブックスの1冊として発刊。著者の花上嘉成さんは東武鉄道で車両技術系と営業系を長く務め、北千住駅長、浅草駅長、東武鉄道創立90周年事業として墨田区東向島に開館した東武博物館の館長を歴任しました。国鉄としのぎを削った日光輸送の変遷、DRC登場前後の私鉄高性能車両の解説など、東武の生き字引的存在であり、自身が旅と鉄道を好む著者ならではの内容も魅力です。

イギリスOSPREY社から2000年代初頭に刊行されたものの日本語訳になります。なんといっても美麗な彩色画は瞠目すべき逸品であり、日本版独自編集と独自資料は大きな魅力でした。時は刊行から20余年を経ましたが、色あせない魅力は健在です。歴史研究もすすみましたが、当時の研究や解釈を現代のそれとくらべてみるというのも、本書復刻の試みのひとつでもあります。

普段、占いをされている方や興味を持っている方、世界史(歴史)に関心がある方などに本書を読んで「占星術の歴史」をより深く知って頂けましたら幸いです。もちろん「占星術」や「世界史」を詳しく知らない方も、本文中の事柄や人物などをじっくり読むことで、より一層、深く学びたくなり引き込まれると思います。鏡リュウジ先生の“まえがき”からもたくさんの発見があります。この本をきっかけに「占い」や「世界史」の学習の間口になって頂ければ大変嬉しいです。

本書のすぐれて面白いところは、ハドソンさんがホームズたちに供した料理のメモと思い出を書籍化した、という設定。あの物語の行間を埋める、名探偵とその相棒の日常生活を垣間見て、ベーカー街の雰囲気に最もひたれる本だと思っていました。ハドソンさんの後年の回想というのがまた読者として距離がちょうどよかった。数あるホームズパスティーシュの中でも、逸品です。

復刊する『キハ58物語』(著者:石井 幸孝)は初版から20年経ちますが、品切れになった現在も在庫のお問い合わせが多く、未だに色褪せることのない人気の作品です。キハ58に関心のある方はもちろん、特に昭和世代の鉄道ファンにぜひ読んでいただきたい1冊です。

個人的に好きなYouTubeチャンネルであったゆる言語学ラジオのお二人とのコラボ企画。一ファンとしても楽しみにしておりました。動画内では「好きな本ラザロ」と銘を打っていましたが、こうしてお二人が選んだ書籍をまさに”復活”することができたこと、そして「書泉と、10冊」を通して皆様にお届けできることは、喜びの思いでいっぱいです。

今回の企画は、長年にわたり復刊へのリクエスト頂いた原作ファンの方はもちろんのこと、映画「戦場のメリークリスマス」のファンの方にも原作があることを知っていただきたい!と復刊ドットコムさん側で考え「書泉と、10冊」の1冊としてやりませんか?と突撃ラブコールをいただき始まりました。これまでの書泉の書店員発の企画ではないカタチですが、その熱意とこの作品を今の時代に問うてみたい、と考え取り組んでいきます。

鮎川哲也賞でデビューされた推理小説家、飛鳥部勝則先生。画家でもある先生の独特な雰囲気とジャンルを横断する作風で熱烈なファンが多くいらっしゃいますが、2010年以降長編新作を発表されておりません。メーラーを遡ると、私が早川書房さんに初めてお願いをしたのは2020年1月のことでした。その際は諸事情にて実現できなかったことが、時を経て実現できる、という電話を頂いたときには、年甲斐もなく大きく吼えていました。願い続けた『堕天使拷問刑』を新刊で買って読める世の中へ。世界は変わります。皆で楽しみましょう。

「バスジャパン・ハンドブックシリーズ」は1986年から発行していた日本のバス趣味専門雑誌「バスジャパン」を発行していたBJエディターズが、1997年より交通趣味先進国・イギリスのバス専門書に倣い、日本のバスファン向けにアレンジして、バス事業者ごとにまとめた単行本シリーズです。過去の車両の情報、路線情報をそのままに手元においておきたい、再度確認したいというファンの方々から、過去の「バスジャパン・ハンドブックシリーズ」を探されている方のお声を売場でよくお聞きしました。今回はファンの方からも人気のある関東の3事業者のものをBJエディターズ加藤さまのご協力のもと、「復刻版」として株式会社書泉より、発行することとなりました。

勇敢な騎馬武者か、はたまた無法の盗賊騎士か? 戦場で失った右手に精巧な鉄製義手を付け、16世紀前半の神聖ローマ帝国を舞台に武勇の限りを尽くした男の前代未聞の自叙伝。痛快無比!

 

【書泉と、10冊】は16世紀に実在した騎士の自叙伝から企画をスタートします。新しい企画に「挑む」という意味でもなにか縁を感じる作品です。

 

 

令和の今、『レオナルドの沈黙』が復刊されることを心から喜んでおります。本作は2002年にご逝去された本格推理小説の巨匠・鮎川哲也先生を偲び、追悼の意味を込めて、私なりの「推理小説以外ではない推理小説」を書こうとした試みです。読者の皆様に少しでも愉しんでいただけましたら幸いです。

他人が読むという発想すらなく、自分のために書いた『ヴェロニカの鍵』の原型は、処女作『殉教カテリナ車輪』の十年前からポツンと存在していました。そのような文章を本という形にしていただいた出版社様と編集者様、この度の復刊にご尽力いただいたすべての皆様に心からの敬意と感謝を捧げます。

「無人の改札口を出ると、そこはもう一面の猿。」書き出しで引き込まれる表題作「猿駅」と、タイトルに並列される「初恋」は、「異形コレクション」初出の傑作短篇となります。その他にも様々な暗く、グロテスクで、エロティックな作品が多数収録されており、最終作の書き下ろし「猿はあけぼの」によって”猿に始まり猿に終わる”構成のこの作品集は、他のどこにもないまさに人間の想像力を刺激する味わい深い文学です。

飛鳥部勝則先生が《異形コレクション》へ初参加となったのは、2001年発売の『玩具館』です。同年に発売となった角川文庫『バベル消滅』は、解説を井上雅彦先生が担当しています。現在『バベル消滅』は電子書籍として発売されておりますが、こちらは単行本が底本とされており、解説が収録されておりません。今回の復刊に際しましては、この井上雅彦先生の解説も復刻され、完全な状態で読むことができます。

『異形博覧会』は、1994年に発売された23編の短篇からなる井上雅彦先生初期の怪奇幻想短編集です。星新一ショートショート・コンテスト優秀作を受賞された先生のデビュー作「よけいなものが」それ以前の初の商業誌掲載作「消防車が遅れて」を含め、井上雅彦先生の世界にどっぷりと浸ることができる500頁近くの大ボリュームの作品集となっております。

物語の外にもストーリーをもつ小説に惹かれます。タイトルから、表紙から、逸話から。「あの本はヤバイ」という噂が立ち、手に取るためのハードルが高く伝説となってしまった小説。『屍の命題』はそのようにこちらを誘惑する光を放ち続けている一冊です。

今はデジタルで文字情報と一緒に音を聞いたり、映像と共に楽しむなど表現の自由度は広がっていると感じます。しかし1998年に、公募の新人賞へ何枚もの自作の絵画と共に渾身の小説を送った飛鳥部先生の全身全力で小説世界を作り出そうという貪欲さは、きっと令和の現在にも、読者が新鮮に楽しめる斬新な取り組みだと感じます。今回絵画をお借りしてポストカードを作らせて頂きました。どうぞ隣に置いて小説を読み、絵と小説の世界を横断しながらこの総合芸術を楽しんで下さい。

当時、ミステリとホラー、両分野にまたがる作風で知られた著者に、「突き抜けたホラーを書いてください」とお願いしました。古来より不可思議な魔力の依り代とされた「鏡」が鬼才・飛鳥部勝則の手にかかれば、もう……。読者諸氏も恐るべき陥穽から逃れるすべはありません。

 闇に飲まれよ! 『黒と愛』はゴシック名台詞の宝庫です、読めばきっとゴシック者に!(〈仁義なき戦い〉を観るとついつい肩で風を切って歩いてしまいますよね)本書の読後、自身の心の暗部を覗き込み「うふふふふふふふ」と薄ら笑いがとまらなくなる、そんなトリップフルな体験をぜひ――あなたは鋏が好きですか?

鮎川哲也賞でデビューされた推理小説家、飛鳥部勝則先生。画家でもある先生の独特な雰囲気とジャンルを横断する作風で熱烈なファンが多くいらっしゃいますが、2010年以降長編新作を発表されておりません。メーラーを遡ると、私が早川書房さんに初めてお願いをしたのは2020年1月のことでした。その際は諸事情にて実現できなかったことが、時を経て実現できる、という電話を頂いたときには、年甲斐もなく大きく吼えていました。願い続けた『堕天使拷問刑』を新刊で買って読める世の中へ。世界は変わります。皆で楽しみましょう。

昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、私たちは「そうではない」と考えます。 ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。

今後の復刊企画も
お楽しみに。