「中世への旅」シリーズの大ヒットから始まった、「書泉と、10冊」。この企画は、過去に出版された書籍で既に在庫がなく手に入りにくい名作を、株式会社書泉と出版社のみなさま、著者のみなさまに協力いただき重版・復刊してお届けしていくものです。2今回皆様にお届けする第7弾は、満を持して、若い世代はもちろん、あらゆる層から激賞を受けている“よしもとよしともさん”のベスト&ロングセラーコミック『青い車』を復刊致します。まさに今後も語り継がれていく傑作単行本と言っても過言ではありません!
かつて手にした事のある方はもちろん、未読の方もそのうち手にすることになるであろう1冊であることは間違いありません。
1996年、上京する前この本を手にした。おお、青春私小説的コミック…99年世界の終りの予言をひかえたあの頃は、破滅の近郊で生きているような危うさが90年代サブカルの空気感であった気がする。アレ…今もそんなに変わんなくない?そんな真面目な話でもなく、今よしもとよしともさんの作品を若者に読ませたい。時間は若さの味方だもの、青春を賢くやり過ごそうなんていけないぜ。
そんなところで太田出版様から復刊の話をいただいた。推しまくる本屋、アタマオカシイ本屋としてはのらないわけにはいかない。今、よしもとよしともさんの作品に触れることは意味がある。オザケンとかニューウェーブなんて後で知ればよいのだ。90年代サブカルの懐かしさではなく、色あせない普遍性をこの作品はもっている。
書泉は今あなたにこの作品を届けたい!だからこそ、この機会に是非ともお買い求めください。
まず言えるのは、紙の本として出るのはおそらくこれが最後です。時代の流れからして。シリーズ最終話である『ライディーン』は執筆当時から、『青い車』を再度出すことがあったら追加収録して完結としたい、と思ってました。それを実現したのが今回の形で、完全版で最後の本ということですね。90年代懐かしいねという読み方もいいけど、10年以上絶版が続いてたあいだで生じた未読の人達や若い世代に紹介されて伝わってほしい。今読んでも古い新しいに左右されない、シンプルに良いマンガとして伝わるのではないかな。時代がいつだろうとただ毅然として『青い車』であればそれでいいし、それが『青い車』だと思ってます。
——よしもとよしとも
自分の青春時代に最も影響を受けた、自分という人間をつくった漫画をひとつ挙げるとしたら『青い車』しかありません。23頁の表題作のなかに、それでも生きることの、青春の、若者のすべてが詰まっています。発表から30年の2025年、完全なかたちでこの作品を送り出すことができてこれ以上の喜びはありません。この本が新しい読者にとっても大切な一冊になりますように。
——太田出版(代表取締役社長/編集)森山裕之
昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、私たちは「そうではない」と考えます。ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。
そして、それは私たち“本屋”だけでは実現できません。著者の方々、出版社のみなさま、ファンのみなさま、などご縁のある方と協力しながら、少しずつでもこの挑戦をカタチにしていけると信じています。
この企画を「書泉と、10冊」という名前にしました。「書泉と、ご縁ある方で世に送り出す10冊」という願いを込めての企画タイトルです。まずは、10冊。この企画で改めておススメしたい本を2023年8月よりお届けしています。