芳林堂書店はこれまで飛鳥部勝則さんの書籍復刊を7作手掛けてきました。合計1万冊以上を販売させて頂き、次に㈱書泉が仕掛ける書籍は『フィフス』飛鳥部勝則さんと新刊書籍を作成します。2010年に発表された短編「フィフス」に書き下ろしの続編「人形はなぜ縛られる」を加え、イラストレーター鈴木康士さんに装画としてメインキャラクター「蘭冷」のビジュアルをデザインして頂きました。
欲しくて手に入らないものは自分で作ってしまえ。書泉の新たな取り組みをスタート致します。
2010年に雑誌に発表されたきりのこの作品「フィフス」は、推理・怪奇の分野で高い評価を得る飛鳥部勝則さんのイレギュラー的な作品となります。キャラクターが重視され、魅力的な設定が盛り込まれた序章とも捉えられるこの短篇は、著者自身が続編の構想を公言していましたが、現在まで大きな動きはありませんでした。今回、書泉・芳林堂書店は今まで作品化されなかったこの物語の続きを出版し、新しい始まりを宣言します。飛鳥部勝則さんによる「フィフス」(14年ぶりのリリースに際し一部改稿)と時系列の連続した書き下ろし続編「人形はなぜ縛られる」。そしておなじみの長い後書き。作品世界を拡張する鈴木康士先生の美麗なイラストを表紙とし、一冊の文庫書籍として令和の飛鳥部ファンのお手元へ届けます。
飛鳥部勝則先生の著作を多くの方に読んで頂きたい!という気持ちで書店が考え、行動できることを全てやりつくしたこの1年間でした。この先の取り組みとしては「もう自分たちで作るしかない」と腹を括り、慣れない本作りを行っています。今まで時が止まっていたとしても、何も手遅れなこと等ないと信じています。皆で「フィフス」の新しいスタートを見届けましょう。
これまでの私の本の中には『フィフス』というタイトルはなく、その意味でこの単著は新刊ともいえ、上梓していただく書肆様には感謝の申し上げようもございません。内容は既出の長めの短編「フィフス」に書き下ろしの続編を加えたもので、後書きを含めると、新作部分は全体の三分の一に及びます。「あの続きが書けて良かった」というのが著者の偽らざる心境であり、鈴木康士による美麗な装画も含めて、手にされた読者の皆様に少しでも愉しんでいただけるよう祈るばかりです。
芳林堂書店さんからご相談を頂いて慌てて積読していた飛鳥部先生の堕天使拷問刑を読んだ鈴木です。それが最高でやる気500%になりました。フィフスは短編ながら少女と出会い突き落とされ.幻想文学の魅力を持った最強斧ガール作品という印象です。奇跡の文庫化に立ち合え幸せです!
昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、私たちは「そうではない」と考えます。ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。
そして、それは私たち“本屋”だけでは実現できません。著者の方々、出版社のみなさま、ファンのみなさま、などご縁のある方と協力しながら、少しずつでもこの挑戦をカタチにしていけると信じています。
この企画を「書泉と、10冊」という名前にしました。「書泉と、ご縁ある方で世に送り出す10冊」という願いを込めての企画タイトルです。まずは、10冊。この企画で改めておススメしたい本を2023年8月よりお届けしています。