夢野久作『ドグラ・マグラ』刊行90周年記念企画。
執筆の日々が記され全集にも未収録の『夢野久作の日記』を新装版として
「芳林堂書店と、10冊 第2シーズン 第4弾」で復刊!

日本探偵小説三大奇書に数えられ、令和の現在でも多くの熱狂的な読者を獲得し続けている稀有な小説『ドグラ・マグラ』。
探偵小説家・夢野久作によるこの作品は、構想・執筆に10年以上の時を費やし、1935年1月に松柏館書店より発売されたものです。
今年はその発表から90年となるメモリアルイヤーになります。

夢野久作は作品創作の過程や日々の記録を日記として書き残していました。これらは息子の杉山龍丸によって編纂され、1976年葦書房より『夢野久作の日記』として刊行されました。巻頭口絵には日記の原本や書斎などの写真が収録され、杉山家の戸籍謄本も掲載されている資料価値も高い書籍です。
この日記は著作集や全集にも未掲載であり、今日まで品切れ状態が続いています。福岡県立図書館のデジタルライブラリ等では実物を画像として閲覧することも可能ですが、内容をより理解するためには親族によって監修された書籍が親切な資料となります。夢野久作の生活・生涯を知ることができる貴重な本書に、以前より復刊ドットコムへは多くの復刊リクエストが寄せられていました。

夢野久作の日記[新装版]

夢野久作:著 杉山龍丸:編

小説家・夢野久作による日記を、息子の杉山龍丸が編集。1976年刊。巻頭には、日記の原本や書斎などの写真を収録。日記には『ドグラ・マグラ』の制作過程の様子などが記されている。また、資料として杉山家の戸籍謄本も掲載されている。

今回、2023年12月に復刊ドットコムと㈱書泉による共同取組として復刊を行った『影の獄にて』のご縁から、2社で再び世に流通させたい書籍は何か相談を重ね、この『夢野久作の日記』を新装版として復刊する運びとなりました。
著作権者様と密に連絡をとりあい、許可を頂戴し、ご納得いただいたクオリティでの新装版としての再版となります。
『ドグラ・マグラ』、そして夢野久作を深く理解しようとする皆様にとって、かけがえのない書籍の復刊となります。

どうぞご期待ください。

 夢野久作は専業作家として身を立てることを決意する以前から、欠かさず詳細な日記を付けることを習慣としていました。残念ながらそのうちの幾分かは戦災により焼失してしまいましたが、現存する10冊——明治43、44、45(=大正1)、大正13、15(=昭和1)、昭和2〜5、10年——のすべてを、久作の長男である杉山龍丸の手によって活字に起こしたのが本書『夢野久作の日記』です。
「夢野久作」名義での文壇デビュー作となった短編「あやかしの鼓」が雑誌『新青年』の懸賞2等に当選したことを知らせる手紙を、妻のクラが喜んで久作の元へ持ってきたときのこと。5年以上も構想を温めてきた小説のタイトルをいよいよ『ドグラ・マグラ』と定めたときのこと(上掲の表紙に用いたのがその日の記述です)。それからまた5年を経て世に送りだされた『ドグラ・マグラ』の発刊記念会で江戸川乱歩と会って嬉しかったこと、などなど。また折々に詠んだ数多くの短歌なども見逃すことのできない内容です。

作家であり、新聞記者であり、禅僧であり、農園経営者であり、能楽喜多流の教授であり、そして一家を支える父親であった夢野久作のさまざまな側面が、自身の手によって一望できるドキュメントとして著されたのは本書をおいて他にありません。久作の身辺事情を誰よりもよく知っていた杉山龍丸の付した註解も併せて、愛読者と研究者にとって必読の一書であることは間違いないでしょう。

『ドグラ・マグラ』の制作期の日記であり、貴重な資料であることは間違いありませんが、内容は一人の人間「夢野久作」(本名杉山直樹・出家名杉山泰道)が生きた日々の記録となります。家族や趣味・食に関する記録や短歌など、作品を飛び越えて日常からのアプローチで、より鮮明に作家の輪郭を描きたい人のための夢野久作沼に落ちたかたが本棚に最後に加える一冊です。

商品情報

タイトル

『夢野久作の日記[新装版]』

著者

夢野久作:著 杉山龍丸:編

判型

A5判/並製

ページ数

536P(本文二段組/うち口絵40P)

販売価格(税込)

6,050円

発売日

2025年4月上旬ごろを予定

本書の特長

① 長らく品切れで全集にも未掲載だった『夢野久作の日記』。底本の口絵・本文内容はそのままに、手に取りやすく読みやすいA5判・並製に装いを新たにした新装版として刊行。
② 底本に付録されていた月報内容も、出版広告や権利不明寄稿者などを除き巻末に再録!
③ 『狂人の解放治療』という仮題で書き進めていた小説タイトルを正式に『ドグラ・マグラ』と決定したことがわかる日記(昭和5(1930)年1月11日)を用い、その魅力を最大限表現したオリジナル装丁。表4には夢野久作による自画像も掲載。

*本書は、『夢野久作の日記』(杉山龍丸・編 葦書房・刊 1976年9月20日)を底本とし、内容の一部に修正、増補のうえ、新たな装丁にて刊行するものです。

1月31日 12時より予約受付開始!

『書泉と、10冊』『芳林堂書店と、10冊』について

昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。
「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、
私たちは「そうではない」と考えます。


ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を
「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。

そして、それは私たち“本屋”だけでは実現できません。
著者の方々、出版社のみなさま、ファンのみなさま、など
ご縁のある方と協力しながら、少しずつでもこの挑戦をカタチにしていけると信じています。

この企画を「書泉と、10冊」という名前にしました。
「書泉と、ご縁ある方で世に送り出す10冊」という願いを込めての企画タイトルです。
まずは、10冊。この企画で改めておススメしたい本を2023年8月よりお届けしています。