2023年より㈱書泉が行ってまいりました復刊企画「書泉と、10冊」。その姉妹企画として始まった「芳林堂書店と、10冊」も第2シーズンに突入し、その折り返しとなる第6弾として、 篠たまきさんの新刊『観音異聞』 を同人誌にて出版致します。
「人でないもの、人ではいられないもの。いつか滅ぶと知ってもなお彼らに酷く憧れる。」 避雷針
「ぺとぺと、ひたひた、美しくて、悪いものは、いつの間にか——」 芦花公園
『観音異聞』は、2018年に早川書房より発売された『人喰観音』の世界観で描かれる、人の形をしながら永久の肉体をもち、歪んだ運命へと人を誘う美しい観音様を中心とした珠玉の短編集です。「SFマガジン」2022年12月号に掲載された「女童観音」、早川noteに掲載された「まどい巫女」、紙媒体の書籍が未発売である2篇の短篇と、篠たまきさんによる2篇の新規書き下ろし作品を加えた文庫本を販売いたします。
『人喰観音』のファン待望のスピンオフ集としてだけでなく、『観音異聞』に収録された短篇を読む事により、唯一無二の濃厚な魅力を堪能できる特別な作品集として、芳林堂書店が読書好きの皆様にご提供する渾身の一冊となっております。
今回の出版にあたって、篠たまきさんの熱狂的ファンである避雷針さん(X:@Soki_Itsumi)芦花公園さん(X:@ROKA_KOUEN)のお二方にオビ文を頂戴し、『人喰観音』の帰還を彩って頂きました。作中の観音様に魅入られる登場人物のように、篠たまきさんの小説作品でしか味わうことのできない魅力に捕らわれた同志の皆様へ、極上の「篠たまき」をお届けいたします。
「実はね、『人喰観音』の別のお話があるんです。」と、篠たまき先生に打ち明けられたとき、心が震えました。これは、絶対に世に出さなくてはならない作品だ、と、使命にも似た感覚に貫かれ、ぜひ、弊社にて作品集を販売させてください、と訴えておりました。ずっと待ち焦がれていたその作品が、ついに形をなして発売されることになり、飛び上がるほど嬉しかったのを、昨日のことのように覚えております。
篠先生の放つ、独特の世界、妖艶だけれども、純粋、淡々としているようでいて情熱的な世界を、読者さまも、ぜひ、ともに、そして、存分に味わっていただきたいです。
『観音異聞』は『人喰観音』のスピンオフですけれど、『人喰観音』を読んでいない方でも独立したお話としてお楽しみいただける一冊です。多くの読者様から「“あの人”を主人公にした作品を」とのご要望をいただいて執筆を続けてまいりました。
短編集にまとめていただくにあたり、ご尽力くださいました書店様や関係者の皆様、ご支持をくださいました読者の皆様に、心よりの感謝を申し上げます。
昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、私たちは「そうではない」と考えます。ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。
そして、それは私たち“本屋”だけでは実現できません。著者の方々、出版社のみなさま、ファンのみなさま、などご縁のある方と協力しながら、少しずつでもこの挑戦をカタチにしていけると信じています。
この企画を「書泉と、10冊」という名前にしました。「書泉と、ご縁ある方で世に送り出す10冊」という願いを込めての企画タイトルです。まずは、10冊。この企画で改めておススメしたい本を2023年8月よりお届けしています。