2008年に単行本が発売された、舞城王太郎さん『ディスコ探偵水曜日』は今も電子書籍で販売中の名作中の名作ですが、そのイメージがあまりにも鮮烈で、書店員も紙の書籍が品切れになっていることに気づいておりませんでした。復刊施策を繰り返す道中、そのことを知ったとき、これは何としても復刊を実現させなければと決意しました。
あらゆる読書体験の中で「舞城王太郎を読む」というのはその行為にしかない稀有な体験をすることです。特に代表作であり、今後も忘れられることなどないこの作品を、再びリアルな鈍器として、紙の本で皆様のもとへお届けいたします。
復刊に際し、舞城王太郎さんの強火ファンであり、もはや専門家と私どもが認識している作家・金子玲介さんに推薦コメントを頂戴いたしました。
2008年。一目でわかる圧倒的なKEIさんの装画に、辞書かというほどの厚さ。表紙に踊る堂々たる「舞城王太郎」の文字を見たとき、私は怯んだ。が、いつかはこの物語を読むことになると疑わなかった。こんな面白そうな小説から逃げられるはずがない。時が経ち、なぜか「品切れ重版未定」になっていることを知った。あの時私と同じように怯んで、そのまま入手するタイミングを逸した人はいないかもしれないが、品切れ以降に物心ついた子供たちに『ディスコ探偵水曜日』を届けられないなんて、書店員をやっていてこんなに悲しいことはない。復刊しますので、一家にひとつ。買ってください。
Again, Truth Is A Mirror Ball. Thank You.
『ディスコ探偵水曜日』単行本版・文庫版を担当しました。この作品には、語りつくせぬ思い出があります。そして、舞城王太郎さんの最高傑作であるという気持ちに変わりはありません。
いつか復刊したいと思っていたのですが、今回、それがかなって嬉しいです。
「探偵。お前、招かれてるな」
昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、私たちは「そうではない」と考えます。ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。
そして、それは私たち“本屋”だけでは実現できません。著者の方々、出版社のみなさま、ファンのみなさま、などご縁のある方と協力しながら、少しずつでもこの挑戦をカタチにしていけると信じています。
この企画を「書泉と、10冊」という名前にしました。「書泉と、ご縁ある方で世に送り出す10冊」という願いを込めての企画タイトルです。まずは、10冊。この企画で改めておススメしたい本を2023年8月よりお届けしています。