「中世への旅」シリーズの大ヒットから始まった、「書泉と、10冊」。この企画は、過去に出版された書籍で既に在庫がなく手に入りにくい名作を、株式会社書泉と出版社のみなさま、著者のみなさまに協力いただき重版・復刊してお届けしていくものです。
今回皆様にお届けする第9弾は、書泉ではお馴染みのジャンルである“占い”の分野から、青土社より「内なる惑星 ルネサンスの心理占星学」(トマス・ムーア/ 著 鏡リュウジ、青木聡/ 訳)を復刊致します。
復刊に至った経緯 -株式会社書泉 代表取締役 手林さんの意気込み-
「書泉と、10冊」「芳林堂書店と、10冊」は、この2年間で38冊の作品を復刊させていただき、65,000冊以上を読者のみなさまにお届けしています。鏡リュウジさん翻訳の『世界史と西洋占星術』はその中でも一番早く買い切った数が完売し、柏書房さんの予備分も全て販売するという印象深い本でした。「もう一度、鏡さんの関わる本で復刊してみたい!」と常々ネットで検索をかけていたところ『内なる惑星』を見つけました。たぶん、アニメでも人気のコミック『チ。』を観ていた影響もあるかもですが、このタイトルがとても今の時代にあっている気がしたのです。
SNSなどであらゆる考えや情報があふれ、世界中で起こっていることも瞬時に知ることができるのが現在です。なんだかとても「外のこと」ばかりなので、この「内なる~」という言葉に惹かれたのかもしれません。
また、この本の中には「健やかな生活とは、音楽的な生活である」という言葉がありました。これも何か自分のことを言われているような気がしてなりません。そんなことをつらつら考えながら、また「内なる惑星」という言葉をネットで検索をしてみると、なんと“札幌拠点の4人組バンド・goetheが新作EP『内なる惑星』を本日2月7日(金)にリリースした。”という記事まで飛び込んできました。しかも、そのインタビューにはとてもこの本に通じることが語られています! 不思議な縁を感じますね。
『内なる惑星』を読みながら、『内なる惑星』を聴く。というシーンを多くの方にお届けできるように、今回もしっかり販売していきたいと思います。
また今回の復刊にあたり、翻訳者である鏡リュウジさんのサイン本も販売致します。数に限りがございますので、この機会に是非ともお買い求めください。
現代の元型心理学のルーツのひとつに、15世紀フィレンツエの哲学者、
占星術者のマルシリオ・フィチーノの思想をみることができる。
星と心が響きあう、魂に満ちた宇宙を描き出したのがフィチーノだった。
現代の心理臨床家がその思想に倣い、内側に閉じ込められているこころをもう一度、星空へと返していく。
本書をとおして読者は、惑星たちと魂を調律していく想像力が呼び覚まされてゆく。
世界的ベストセラー『魂へのケア』の事実上のデビュー作でもある。
次の仕事へ向かう満員電車の中で,スマホの画面とにらめっこしながら,この文章を書いています。仕事柄,ひっきりなしに届くメール。そのたびに,親指をのそのそ動かして,せっせと返信しているのですが,いつも時間に追われているような感覚が拭えません。メールの返信に疲れ,ちょっと休憩のつもりでショッピングサイトを開き,欲しかったモノをあれこれ物色していると,あちこちからニュースやショート動画が割り込んできます。何の気なしにあちこちへ飛び,つい時間を忘れて見入っている空っぽの自分に気づきます。
大学の教室に着くと,私の写真で「ジブリ風画像」を作成し,学生たちがウケる~と盛り上がっています。ジブリ風の私? 戸惑う私に,学生が「私」の画像を送ってくれました。しばし「私」と見つめ合い,これがジブリ風かと苦笑い。夜空を見上げ,星々の配置から物語を紡ぎ出した古来の想像力は,もはや風前の灯火なのだろうか。そんなことを考えさせられていた牡牛座の新月の日に,『内なる惑星』を重版する運びになったという嬉しい知らせが届きました。
久しぶりに手にした『内なる惑星』は,占星術的感性を呼び覚ます素晴らしい内容でした。モノの向こう側に想いを馳せる詩的な眼差しを保っていたい。惑星の神々と共鳴する魂の調律を忘れずにいたい。あらためてそう思いました。イマジナルな次元に関心を持つ,多くの人に読んでいただけることを心から願っています。
蠍座の満月の日に 青木 聡
知る人ぞ知る名著、待望の復刊!
本書は、イタリア・ルネサンス期を牽引したマルシリオ・フィチーノの占星術を、現代心理学にもちこんだ挑戦的な一冊です。神々を思い描きながら星空を見上げ、同時に私たちの内にひそむ小宇宙をのぞきこむ——難解ながらも忘れがたいフィチーノのまなざしは、合理性や効率ばかりが優先される毎日に、新しい風を吹かせてくれます。わたしたちの「内なる惑星」はどのような調べを奏でているのでしょうか。すこし足を止めて、耳を澄ませてみませんか。
本書の内容を知る前にメインタイトル“内なる惑星”を見た時に「なんて素敵なネーミングなのだろう」と思い、更にサブタイトルの“ルネサンスの心理占星学”が目に入った際には、本書は「心理学と占星術」についての関わりなどを幅広く深く学べるのだろうなと感じました。
書名に“星”、“心”、“占”の漢字があることが特に「占い」を学ぶ方には惹かれるのではないでしょうか。
現在、占いや心理学に興味がある方はもちろんですが、ルネサンス時代について学んでいる方にも是非読んで頂きたいです。
1文字1文字に著者、訳者、編集者の皆様の気持ちが込められています。
「訳者あとがき」には、お二人の貴重な体験が書かれています。
いちばん最初に読んで頂くこともおすすめです。
訳者様のそれぞれの想いが伝わってきます。
本書を読んで知識と同時に心の豊かさを得られ、貴方の“大切な1冊”になって頂ければ幸いです。
昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。
「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、
私たちは「そうではない」と考えます。
ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を
「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。
そして、それは私たち“本屋”だけでは実現できません。
著者の方々、出版社のみなさま、ファンのみなさま、など
ご縁のある方と協力しながら、少しずつでもこの挑戦をカタチにしていけると信じています。
この企画を「書泉と、10冊」という名前にしました。
「書泉と、ご縁ある方で世に送り出す10冊」という願いを込めての企画タイトルです。
まずは、10冊。この企画で改めておススメしたい本を2023年8月よりお届けしています。